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”占い師冥利に尽きる”

早くも12月、昨日は亡き姉の誕生日だった。
離れ離れに生活している甥っ子達を思い浮かべながら、きっと各自母を思い出しているだろう…。
壁に掛けられていたブラウスも、珍しい品種だという紫陽花の花も、姉の喜ぶ顔と共に走馬灯のように思い出になった。

冬眠生活の間にネットの原稿を仕上げ、来年一年分の教材を用意しておいた。
これで一年は、授業に関しては気楽である。

先月末の事、ある学校経営者の人から久しぶりに電話があった。
「お願いしたい事がありましてね。お伺いしたいのですが…」
{女の子の事で相談との話。小学6年生頃から登校拒否が徐々に始まり、家の外に出なくなっているという。自分の顔が醜いから恥ずかしいと言っては、人が訪ねて行くとお面をかぶって応対したり、マスクをつけて話をするのだそうである。自分の事に全て自信がなく、家から出る事を拒み、何時も一人で絵を描いて過ごしていた…}
という話である。

今までは、祖母と父母が熱心に子供の気持ちを理解してコントロールして来ていたが、最近こういう事を言ったそうだ。
「もう普通の人の話は聞きたくない。私が聞きたいのは、運命学から自分がどの様になっているのかを知りたい。それ以外は信じない!」
という事を言うので、親ではどうしょうも出来なくなり、知人の理事長に相談に行ったという事であった。

約束の時間に若い女の子と、その母親を伴って理事長が見えた。
幼い感じがするその女性は、20才という。
「遠い所からご苦労さんね!そちらはもう雪が降っているの?此処までどの様にして来たの?」
「今朝、新幹線に乗って来ました。東京と違って私達の方はとても寒いです」
「そう、夜中?いや朝方ね、彼女が私の寝ている部屋をノックしたのよ。あれっ!と飛び起きて考えたの。{今日のお客さんが無事に着く知らせ}だと解ってね。それから暫らくぐっすり寝ましたが」
私がそう言うと、不思議そうな顔をしてお母さんが見ていた。

「実は、夕べ寝るまで、{私、行けない。行かない}で揉めてました。しかし、朝{行く!}と言って起きて来たのでびっくりしたんです」
「私のところには先に、気持ちが着いていたわよ!」

私には変な知らせがあって、翌日の来客は玄関のチャイムで、予約の約束は電話のベルで必ず知らせがある。
今回のように、部屋をノックするという事は始めての事。それは、もう話が付いているので、本人の気持ちだけの問題なのである。
だから、本人が私の所に「気」を送って来たのであろう。

以前、霊能者に聞いた事がある。
「人を鑑定するという事は、電話だから気楽というのではない。その人のいる場所まで「気」が行き様子を見るから、鑑定するという事は疲れるのだ」
という話を思い出す。

目の前に立つその子は、人に顔を見せたくないと言う気持ちが強いからか、それとも今の流行なのか知らないが、昔の歌手のカルメンマキに似た髪形をして、さらに前髪、横の髪で顔の輪郭をすっぽり隠していた。
時折透けた髪の毛から見える瞳が大きくて綺麗で、光っている。顔色は白く綺麗な肌をしている。

恐らく、周りの者が長い期間腫れ物にさわる感じでその子に接していたのであろう。

「箱入り娘」である。
その箱入り娘さんが、おそらく自分に目覚めたのだと思う。
大人の宥めたり、あやしたり、見え過ぎた美辞麗句が鼻に付き出し、自分の運命上の評価?を知りたくなったのであろう、と私は考える。

だから
「私は、誰のいう事も信じない。信じるのは占い師のいう事。そのような人に自分の事を聞いてみたい」。
今迄の自分から脱皮する機会を、探し出したくなったのだと思う。
良い時期に私も出合ったと思った。
後ろから押すのでなく、前にまわり、道をつけて上げれば良いのである。

3時間近く雑談した。

全て彼女についてでなく、彼女の話がすっきりして本人も納得し今後の道筋がつくと、物はついでにという事で、家庭の話になったりで、後は本当に余禄である。

若い彼女の頬が赤みを帯び、綺麗な輪郭が見え隠れする頃になると、本人もまつわり付く髪がうっとうしく感じるのか、手で払いのけるしぐさが目立つようになった。

{あー、普通の女の子らしくなった}内心で私はそう思った。

「これから、外に出て友達と仲良くします。ありがとうございました」
何事も無かったような感じで帰って行った。

私は何時もの様にどっと疲れが出て、布団をかぶった。

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